自営業者の場合、給与所得者と違って、収入の実体が分かりにくいという問題があります。
本当は多くの収入があるのに、いろいろな名目で経費を計上していることで
確定申告書上の所得が実際よりもかなり低くなっているケースが少なくありません。
離婚の相手方が自営業者の場合、相手の本当の取得を把握するために、
預金口座から売上金の入金状況を確認したり、確定申告書で計上されている経費の中で
事業と関連のないもの(私的な交際費)を峻別しなければならないこともあります。
また、自営業者の側からすると、個人名義の預貯金や財産は、運転資金など事業用の財産も財産分与の対象に
なってきますので、財産分与の場面で適切に対応しないと、事業継続すら危ぶまれる状況になりかねません。
依頼者は40代パート女性、夫は50代自営業者、小学生の子2人。
結婚中から自営業者の夫は羽振りがよく、夫婦ともに贅沢な生活をしていました。
ところが、離婚で養育費を取り決める時に夫が提出した確定申告書の年間所得は200万円もありませんでした。
そこで、夫の自営業の売上入金状況、確定申告書上の業務と無関係な多額の交際費や実体の乏しい親族名義の
人件費等の計上を確認し、最終的には、確定申告書の所得金額を大きく上回る年収を前提にした養育費の
取り決めができました。